白炎 14

白虎の出てこない白虎×紫炎シリーズ(ミッション・きらめき☆バレンタイン編)

 妖水先生の小悪魔教室 14 壬生・受難のバレンタインデー・・・ビターな思い出偏




「うわ、なんか・・・すごい・・・」
壬生が声を上げたのは,妖水の彼女さんが作ったチョコレートとはまた違う意味での『スゴイ』・・・で,ある。
「まあ,初めてにしちゃあこんなもんじゃね?」

「なんで表面に白いマーブル模様が浮き出て,白い粉がふくの~?」

「何度も言ってるだろうが。チョコレートを溶かす温度が高すぎるんだよ」
「だってだって!白虎にあげるって考えると,どうしても体温あがるんだもん!!」

 紫炎は夜叉一族の誇る特殊系能力者で,炎を操る。
その技の切れ味は華麗だが,手作りチョコレートには向いていないらしい。

「でもでも,白くてもチョコだよね?!」
「味はかなり落ちるけどな」 冷静に妖水が言い切る。

夏を越えていったん溶けたチョコが発見されたときなどに味が著しく落ちているのはコレである。

「しかし,手作りチョコって不思議ですよね」
「なんだ壬生」
「だって,素人がこうやって溶かして固めるわけでしょう?手作りがよいという慣習も気になりますが,衛生的にはどうなんでしょうね」
「断りにくい雰囲気あるしな~」
「壬生っちなんて,たくさん貰わない?」
「ああ,こいつ手作りチョコ苦手なんだよ」妖水がおかしそうに言う。
「えー?なんで?」
「昔さあ,こいつすっげー怖い女に好かれてて,すっげー怖い手作りチョコもらっちゃったんだよな~」
「嫌なことを思い出させないでください」
「え~,どんなどんな?」
「・・・そうだな。奴のチョコに比べれば,紫炎,おまえのチョコなどヘナチョコだぞ」
「えええええ」
「その女は・・・女の形をした思いこみの激しい生き物はな・・・なぜか壬生が自分と前世からの恋人だと思いこみ,任務中の半年間,壬生を追いかけ回したのだ」
「うはあ,モテモテ」
「好きでもない奴に追いかけ回され,待ち伏せされ,たて笛を舐められ,机の中を整理され,持ち物を盗まれ,においをかがれる壬生の気持ちになってやってくれ」

 壬生と妖水が,同じ学園に短期で出張に出たことがあったのだ。
 そこのかなりパワフルなお嬢さんが壬生に一目惚れして,それはものすごいアタックを繰り返したことがあったのである。

「で,それ,どんなチョコだったの?」
紫炎が自分のよりもひどいチョコレートだったと聞いて,身を乗り出す。

もしかしたらその子となら友達になれるかもしれない・・・と言わんばかりの笑顔に,妖水が深海300メートルくらい深~いため息をついた。



「その女な,チョコレートの中に自分の毛と,唾液を入れて固めやがっていたんだ・・・」



 さしもの紫炎も,壬生に嫌な思い出を思い出させたことを心から後悔したのだった。








 

 

 


 すまん。友人が実際にやった実話。その女は自分の髪を編み込んだマフラーも相手にあげていた。彼女は「彼とつきあっているのw」とほざいていたが,相手の男の子は彼女とはほとんど話したこともなく,もちろんつきあってなどいないと一生懸命周囲に訴えていた。彼女の中では脳内結婚まで進んでいる様子で,・・・痛々しかったなあ・・・。

 そんなバレンタインデーネタでした。

 (20070131)

 さて、次週は紫炎たんがバレンタインうまくいったかどうか、報告する予定だお!


 

2007/02/11(Sun) 00:28