白炎 12

白虎の出てこない白虎×紫炎シリーズ(ミッション・きらめき☆バレンタイン編開始)

 妖水先生の小悪魔教室 12




「明日は特別スペシャルデー♪」
紫炎の鼻歌が響く。シャラララ、というアレだ。
「一年♪一度の♪チャーンースッ」

「一年に一度しかチャンスがねえなら、アレじゃねえか。他の364日は一体何をしていろというんだろうな」
「そういわれてみればそうですねえ」 「閏年だった日にゃアレだぞ365日もあるぞ」


「うわっ!妖水っ!」
「どうでもいいと言いたいところなんだが、チョコレートは直接火にかけちゃいけねーんだぜ。大変なことになる」
「わあわあ!どっから入ってきたんだようっ!」
「うわあ、これは鍋がもうダメっぽいですね」
「ぶほっ!壬生っちまで!任務中じゃなかったの二人ともっ!」
「いや~、俺たち腕がいいもんだからよ、午前中で全任務終了だったんだよね。寒いしマスターの苦い珈琲でも飲んでやろうかと思って来たら、なんだか阿呆な声で歌っているやつが厨房に居たからさ~」
「覗いたら、チョコレートを直火で溶かそうとしている人がいたんですよね~」

二人がニヤニヤと手元を覗き込むのも無理はない。
紫炎は大好きな恋人の為に、なんと手作りチョコレートを作ろうと奮闘している真っ最中だったのだ。

「うわあんバカバカ!料理下手だって知ってんだろーっ!見てるんなら手伝ってよっ!」
「やだよ。なんで白虎ごときに俺様の作ったチョコレート食わせてやらにゃーならんの」
「違うよう!妖水の作ったチョコを何で白虎にあげる話しになってんだよ!そんなこと誰も言っていないじゃないかーっ」
「フッ、冗談だ冗談」
「妖水の悪ふざけですよ、紫炎」
「てゆーかさー、お前料理ド下手なんだから、素直に市販のチョコレート買って食わせりゃいいんじゃねえの?」
「可愛いチョコレートって、けっこう売っていますよ?」
「そうそう。ほれ、これなんか今朝俺の彼女が送ってくれたもんだぜ~。見せてやろうか」
「わ!さっきから大事そうに持っていると思ったら!もしかしてそれ、例の九州の彼女さんですか?」壬生が妖水の手元をのぞき込む。
「おう。ちょっと早めに届いたんだけどな。遅れるよりいいだろうって朝イチで届いてた。気が利く女だからな。・・・紫炎よ、目ん玉かっぽじってよく見やがれ!このくらいしねえと手作りチョコレートとは言えねえんだぞ!」
「妖水、目ん玉かっぽじってしまったら、何も見えませんから」
「うを、間違えたか」


 料理の手を止めて、紫炎が妖水の開く金色の包装紙を見つめた。金の包装紙に深紅のリボンが丁寧に巻かれていて、中にはカードが入っている。


「わ!」素早く壬生がカードを抜き取った。
「馬鹿、見るんじゃねえよ!」
「隙有り!」
「ナイス壬生っち!見せて見せて~!」

壬生が取り返そうとした妖水の手からカードをもぎとり、後ろ手で紫炎に渡す。紫炎がカードを開いた。
二人がカードをのぞき込む。

「・・・・・・・・・・・・・」

「な、なんだよ」

「いや、別に・・・・」


 そのまま黙って二人がカードを妖水に返す。

 カードには、自分撮りしたとおぼしき、ほぼ全裸の彼女の写真と、「本当は、アタシを食べて欲しいんだけどw」のラブラブなメッセージが書かれていたのであった。

 ・・・・・・・・・・・



 


 (続くぞ)



 ちなみに目ん玉かっぽじって~はご存じ・「リングにかけろ」のネタです。
 
 (up:20070127)


2007/01/27(Sat) 19:14