白虎の出てこない白虎×紫炎シリーズ
妖水先生の小悪魔教室 8
「聞かせてもらおうじゃねえか」
妖水がにんまりと人の悪い微笑みを浮かべる。
壬生攻介だって興味津々だ。
「どちらにせよ初めてのチューだろ。詳しく聞かせろ」
「や、やだよ!なんもなかったって言ってんじゃないかーっ!」
「ちちち、馬鹿だな。状況を聞くことで、奴がどんなシチュエーションに弱いのか分かってくるわけだ。敵を知り、己を知ることが目的達成への確実な道だ」
「目的達成・・・」
「お前、白虎とイチャイチャしたいんだろ」
「う・・・・・」
「人前でしろとは言わねえけどさ。部屋で後ろだっこされながらビデオ見て、髪に奴の息があたる・・・感想を言い合いながら、じゃれあう二人」
「妖水、それって貴方の妄想ですよね」
「黙ってろ壬生。いいか、いつでもキスしていい相手がいるというのはいいもんだぞ」
「みゃう・・・」
「触り放題、触られ放題」
「うはん・・・」
「喜びは倍に、悲しみは半分に」
「うああああん!!わかったよ!!言えばいいんでしょ!言えば!言いますよ!言うよ!」
『言う』は五段活用。言わない言おう言います言う言うとき言えば言えイエイ。
「おう。ようやくわかったな。最初っからそうやって素直になってりゃいいものを」
「妖水・・・」
「ええと・・・」
「ツインとはいえ、ホテルに入ったんですよね」
壬生が話しを整理する。
「そしてお前はシャワーを浴びて、奴も後からシャワーを浴びた・・・と」
「うん」
「なんで途中で『背中流しましょうか』と入って行かないんだ」
「ぶ!」
「い、行けるわけないでしょう!痴女じゃないか!そんなのっ」
「ビジネスホテルでそれはイタイでしょう、妖水」
ビジネスホテルとゆーのは基本的にユニットバスで、風呂は非常に狭い。
「む、そうか・・・。ラブホじゃないんだったな」
「ラッ!ラブホッ!!」
「妖水はおいといて。それでどうなったんですか、紫炎」
「夜景の綺麗なホテル取ったんだぜ。ちゃんと押さえるとこ押さえたんだろうなあ」
「・・・部屋暗くして待ってて、紅茶にブランデー混ぜて・・・」
「おお、やりますね、紫炎」
「それで、ベッドには寝て待っていたのか、座って待っていたのか・・・」
「す、座ってた」
「む、ツインなら仕方ねえか」
「でも、白虎が隣に座ってくれて・・・」
「おお!」
「白虎もとうとう男に!」
「『おやすみ』って言って、おでこにちゅーしてくれたんだ~w」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「いやああああん!恥ずかしいけどうれしいいいいいいいいっ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・デコ?」
次の瞬間、壬生攻介が生涯見た中でもっともスピードの速いデコピンが妖水の利き手から発されたことは、ここに書くまでもない。
夜叉一族の歴史に残る見事なデコピンだったという。
(続く)
BGMはもちろん安心パパの「コロスケのはじめての接吻でござる」でお願いしますよ、マスター。B面は「接吻初めて物語」
2006/12/09(Sat) 13:13