白虎の出てこない白虎×紫炎シリーズ
妖水先生の小悪魔教室 4
「まずは目的をはっきりさせるべきだ」
妖水が喫茶店の紙ナプキンを広げてボールペンで図を書き始めた。
「目的の明確化により、目的達成の為の手段も明確になる」
「なんかまともそうなことを言ってますが・・・」
覗き込んで壬生がつぶやく。
「うん、つまりどうすればいいの?妖水」
相談者の紫炎は真面目なのである。
「要はムラムラさせればいいんじゃねえのか?」
「・・・結局そんなんですか」
「壬生、うるせえ。ちょっと黙ってろ」
「・・・」
「エッチな下着とかどうだ?貸してやってもいいけれど」
「ぶは!なんでそんな下着を持ってんですか、妖水!てか、貸しては駄目でしょう!」
「いや、オレに似合わなくてよ。お前の方が似合うと思うし、買うと高いから」
「エッチなの?・・・どんな?」
「興味持たない!紫炎!!」
壬生が精一杯突っ込む。
自分が突っ込まねば誰がこの不毛な会話を止めるというのだろうか。
「しかし、今のままでは情報が少ない。一応普段はどんな状態か詳しく聞かせろ」
「え・・・と、でもほら、今遠距離だし・・・」
「けっ、会おうとすれば会える距離だろうが」
「うん・・・でもほら、白虎は今家族と暮らしてるでしょ」
「あー、そうだったな」
「会うのはどのくらいの頻度なんですか」
壬生もついつい口を挟む。
「週に1回か2回は会おうって思っているけど・・・」
「それでようやく会っても手つなぎデートか」
「あ、でも!電話は毎日しているよ!」
「ぶ!」
「なんだ、ラブラブじゃねえか」
「だ、だよねだよね?」
「じゃあそんなに心配しないでもいいんじゃないですか?ねえ妖水」
「だって~!」
「だってなんだよ」
「電話じゃアレじゃんか!抱きしめてもらえないじゃないか~!」
「ぶぶ!」壬生がテーブルに額をぶつけた。
「お、お前・・・言ってて恥ずかしくねえのかよ!壬生が悶絶しているぜ?!」
「うあああああん、恥ずかしいよう~もうやだよう~馬鹿馬鹿馬鹿~!!」
紫炎がいやいやする。
「・・・まあ、落ち着け俺たち。電話では何話してんだよ。色っぽい方向にはいかねえの?」
「行かない・・・」
「そうですよ、何話てるんですか、内容によっては親密度があがるでしょうに」
「ええと・・・飼ってる亀の話とか・・・」
「亀かよ!」
「亀ですか」
「自分の亀の心配をしやがれってかんじだよな!」
「妖水!よくわかんないけど、今のシモネタだよね?」
「流しなさい、紫炎!」
「わかった。電話が毎日あって、紫炎はえっちなことをしてほしいと。だったら解決策が一個あるじゃねえか」
「え、何ですか?」
「なになに?教えて妖水~!」
「 テ レ ホ ン エ ッ チ 」
その直後、喫茶店「船長」の一部にぼや騒ぎがあったが、店長がもみ消してくれたという。
(20061111)
…続きます。
2006/11/11(Sat) 11:45