風太の★風の里日記★ その8
★これまでのあらすじ★
情に厚いが機械に疎い、独眼竜の竜魔がネット生活を開始、里のみんなにナイショでブログを始めたんだけど、最近いろいろ里のメンバーが書き込みとかしちゃっているらしいゾ☆
「霧、今日あいてる?」
霧風の袖を引いたのは小龍だ。ごくまれにだが、何か頼むときとか甘えるときに、小龍が霧風の名前を短く呼ぶようになったのは最近のことだ。
「今日って?」
「夕方あたり」
「…いいですけど、うちに来ます?」
「ううん、昼から兄貴たち柔道の試合があるから留守だろ?親父もそっちの応援行くんで、うち人があまりいないから、うちにちょっと来て欲しいんだけれど」
柔道の試合は一泊二日で行われるので、劉鵬や項羽は今日の昼の便で会場に向かうのである。
というわけで、霧風が何かを期待したとしても、別に責めるべきことではない。
「項羽の部屋、勝手に入っていいんですか?」
「いない間、俺が入ってもいいって許可は取ってある」
薄暗い部屋はあまり整頓されていなかったが、カーテンを開けようとすると小龍に止められた。
きちんと干された布団のあるベッドもあって、ちょっと抱き寄せようかとしたところ、するりと逃げられた。
パソコンの電源が入れられる。
「ちょっとこれ見て欲しいんだけど」
「?」
「風太の…って、いわゆるブログですか?これは」
「うん、まあ。知ってる?」
「わたしはあまりインターネットはしませんので」
「地元の人のブログらしいんだよ。劉鵬曰く、村役場の人あたりのブログじゃないかって」
「ほう」
のぞき込むと、確かに地元の人のブログらしく、見覚えのある杉並木などの画像がときどき出ていた。田舎暮らしの人が天気の話や季節の植物の話などを書いているほのぼのしい日記である。
「…で、これがどうしたんですか?」
「書き込みって、あるだろ、これ」
「ああ、コメントを記入するやつですね」
「うん。ここの常連で、KOUさんて言う人がいるんだけど」
「…項羽ですか?」ピンときて霧風が声をひそめる。
「多分。IPアドレスはここか開発センターの中央PCだから」
霧風にはIPアドレスというものはよくわからなかったが、いくつかの数字で使っているパソコンを特定できるものらしい。
「…なにか、反社会的な書き込みでも?」
「うーん、そんなに悪意のある感じではないんだけど…」
小龍が言いながら、適当な日付の日記を開く。
「…何故か、女言葉で書き込みしているんだよな、兄貴…」
相談されても困る霧風なのであった。
(20060306 啓蟄)
葦田ゆきさま3333ヒットの御礼作品ですよ!
風太シリーズを常に応援してくれているゆきさまへです(ふはは)
忘れていたけれど霧小サイトでしたよ、うち。
「霧」とか呼んで上目遣いでお願い事する小龍はめっさかわいいと思うのですよ!
にしても項羽ったら、小龍にばれてやんの。ぷ。
このネタは丸一年以上前の一番最初にエチャで遊びながら「項羽が女言葉で書き込みしててさ~」「そうそう、それで小龍が何事かと思って心配するのだ~」と、書こうと思っていたネタでしたw
そんなわけでup:20060806 61回目の原爆記念日に。
2006/08/06(Sun) 23:03