風太の★風の里日記★ その2
(前会までのあらすじ)
風魔の里にも電脳化の風が吹いてきた。
若手の中ではもっともPCに疎い竜魔だが、なんとか最近ネットで秘密の買い物などに成功している様子ダゾ。
しかし里の共用PCなどを使っていたために、あっさり一番ばれないほうがいい項羽にその存在がばれた様子である。
「・・・イタイな・・・」
項羽がつぶやく。
そこには、竜魔が秘密のつもりで購入した大人のグッズや、いけない本などの履歴がごっそりと残っていた。
竜魔の思い人は現在まだ子供子供した相手なので、一人こういうおもちゃを使って右手を恋人にしているのかと思うと、項羽は呼吸が止まるほどおかしかった。
「やべえ、おもしれーかも・・・」
* * * * * *
竜魔が、携帯の写真機能の使い方を聞いてきたのはそれから一ヶ月ほど経ってからのことだった。
「あ、小龍いないのか」
「なんだ、携帯の写メくらいなら俺が教えてやるよ」
「…え、あ、項羽?いや、小龍の方が…シャ、シャメってなんだ?」
「いいからいいから」
項羽が天使のような微笑を浮べて竜魔にそれは丁寧に携帯の写真機能の使い方を教えてやる。
その様子を見る劉鵬の頭には疑問符が浮かんだが、項羽があまりに楽しそうにものを教えているので余計な口を挟むことは差し控えた。
しかし、劉鵬の経験上、こういうときの項羽は必ず何かをたくらんでいるのだった。
* * * * * *
「・・・竜魔・・・俺の予想を裏切らない男め!」
さらに一週間後、PCの前でのけぞる項羽の姿があった。
「風太の★風の里日記★」
(風太って誰だよ)
竜魔がそのハンドルネームを考え出すまでに3日以上かかったことはその時の項羽はまだ知らない事であった。
(さらに続く)
20051101 2006/03/07(Tue) 20:01