炎天
「弟さん、剣道選択したんですか」
「なんで」
「道場で姿を見ました」
機嫌のいい霧風が珍しく項羽に声をかけた。話題は項羽の弟らしい。
「てっきり貴方と同じで柔道を選択するかと思っていたもので」
「ああ、お前剣道だったっけ」
霧風の上機嫌に反して、項羽はつまらなそうに答える。
風魔の子どもは男女を問わず、中学生までは柔道か剣道を必須科目として選択しなくてはいけない。もっとも、霧風や麗羅のように特殊系と呼ばれる一握りの子どもは必ずしも選択しなくてもいいことになっていたが、霧風は父親の方針で剣道を選択していた。麗羅などは最初からどちらも選択をしていない。
「俺は柔道にしろって言ったんだけどよ。あいつ、向こうで剣道やってたらしいから」
項羽が向こうというのは彼らの叔父の家のことで、項羽の弟はそこで2年ほど暮らしていたのだ。
「兄貴の俺が言うのもなんだけど、あいつ結構強いぜ?」
ニヤッと笑って項羽が言う。
「負けたらカッコ悪いな、霧風」
(20060221)
そんな夏の日。
暑くなってきました。
(up;20060716)
2006/07/16(Sun) 19:45