雑煮
「うちのお雑煮、甘いんじゃないかしら」
母親が形のよい眉を曇らせて、霧風の裾を引っ張った。
「そんなことないですよ?」
霧風は母親のつくる西風白味噌仕立ての雑煮が好きなのだが、母親は自信なさげに首を振った。こうした仕草をすると、自分の母親ながら、少女のような印象がある。
「小龍ちゃんのおうちは、醤油味らしいのよ。鳥出汁の澄んだ色のお雑煮で…」
「…それは、かまわないんじゃないですか?うちはうちのお雑煮で」
「それはそうなんだけれど…」
母親が首をかしげる。
「二種類作ろうかしら」
「だからその、かまわないんじゃないでしょうか」
「大丈夫ですよ」
遊びに来ていた小龍がひょっこりと顔を出す。
「婚家の味に合わせるのは嫁として当然ですから」
嫁だったのか、と霧風が突っ込む前に、母親が安心した声を出したりするのだが。
* * * * *
霧風のうちはちょっと味付けが甘いのだと思う。
お母様意外と関西系なのかな?それとも父上が甘い味付けが好きなのかな?
雑煮は丸餅で、白味噌仕立て。削りカツオが乗っています。人の上に立てるように、と頭芋(サトイモ)が入っているの。霧風甘党だったら可愛いなあ。
羽根屋敷は醤油味ベースで、あっさり系。こばやしさん家は東京江戸っ子なのでこっちです。ナルトが入っていたりする。
本陣は具だくさんで、東北風の田舎っぽいお雑煮。たけのこ、わらび、ぜんまいなどの山菜がいっぱいに、鶏肉・根菜類。焼いた角餅入り。体があったまるな!
意外と劉鵬のところは宮城県風すまし仕立て。出汁は焼きハゼで取ってて、具は千切りにした大根、にんじん、ごぼうの根菜類でサトイモの茎(ずいき)、凍み豆腐にかまぼこ、しあげにイクラと芹をうかべて。
などと、風魔同じ里でも雑煮がいろいろあるといいな、という話でした。
こういう設定している意味があるのかどうかは私にもわからんがな!
てか、その前に婚家とか嫁とか言ってますよこの小話。(汗)なんだか明るい霧風ですな!まあ正月だからいいのか!
(20060101 あけましておめでとうございます
追記;劉鵬家の雑煮:060115)