初日
「おはよう」
足音に気がついて小龍が顔をあげた。
つられておはようございます、といいかけた霧風は言葉を変える。
「あけましておめでとうございます」
「…おめでとう」お互い小さく頭を下げる。
言ってから、小龍が小さく笑った。
「さっきまで会っていたんだけどな」
「…それはそうですね」
初日を見ようとみんなで約束したのは数時間前の話で、現在は1日の午前5時少し、日の出前である。里の東に位置する羽根屋敷前で待ち合わせだったのだが、現在門の前には他に人影がない。
「項羽は?」
「あー、たぶんダメだ」
「どうして」
「3時くらいまでおきてたんだけどな、やっぱり眠いとか言って横になっちまったから。十五分くらい前に劉鵬が起こしに行ったけど、帰ってこないところをみると、木乃伊取りが木乃伊になった」
「ミイラって…」
「今頃項羽に布団中引きずり込まれているんじゃねえのかな」
「うわあ」
霧風が同情の声を出す。劉鵬じゃ布団からはみ出ると思うのだが、想像するのはやめておく。
「竜魔は?」
「あっちも小次郎起こすのに失敗したんじゃねえのかな、今年は絶対連れてくるって言ってたんだけどなあ」
「今年も先が思いやられますね」
「な」
小龍が腕時計を見る。
「麗羅は先に神社行っているらしいから、俺たちだけで先に行くか」
「二人でですか」
「もう少し連中を待ってみる?」
「…いえ」
母親には六人くらいで行くと言っていたのだが、それはそれでいいか、と霧風は東の丘に向かう事にした。
* * *
「…何を祈ったんですか」
初日に両手を合わせた小龍に霧風が尋ねた。
「内緒」
東の空を初日が染めていく。
霧風は来年も同じように同じ人と、初日をここで見ることが出来ますようにと祈ったのだが。
(2006 0101)
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
てなわけで、小次郎は昼間で寝正月、あんちゃんはニューイヤー駅伝とか箱根駅伝とかずっと観戦。テレビのスポーツ関係好きそうだ。竜魔は新年早々小次郎のお布団にひきづりこまれて何も出来ないんでどうでしょう。(どうでしょうっていわれてもな!)
麗羅のお姉さんたちは神社で巫女さんのアルバイト中で、麗羅は琳彪たちと31日から神社でお手伝い。兜丸はお寺で除夜の鐘を撞いてそのままお寺でお手伝い。
なんだけっこうみんないいお正月じゃないか。
2006/01/01(Sun) 20:13