露草
「似てないと思うんだけれど」
小龍は茶碗にご飯をよそいながら口ごたえをした。
最近、どれだけ食べてもすぐに空腹になる。
先月は身長が2センチも伸びた。
「そんなことはないよ」
そんな小龍を、嬉しそうに見つめているのは叔父の青羽だ。彼は、死んだ母親の弟にあたる。
小龍は子どもの頃に数年、この叔父の家で育ててもらったことがあった。
ほっそりとした叔父は、若々しく、一緒に外を歩いていると兄弟に間違われる。この叔父貴は羽根の一族の分家として、飛騨で一家を構えているのだが、今も年に何回か実家である風魔の里を訪ねてくる。
「姉さんにそっくりだよ、小龍は」
「そうかなあ。小さい頃に似ていたって言われるのはわかるんだけど、身長もけっこう伸びたし、声だって」
「そうだけどね。・・・たとえば、ほら」
目を細めながら青羽が小龍の持つ青い茶碗を指差した。
「姉さんも、露草の柄が好きだったんだよ」
(20050712)
青羽は小龍・項羽の母親、白羽の弟。
ショウウって読んでいるのですが、まあお好きに読んでくださって構わないのです。先代の羽根三兄弟については設定部屋を参照してください。
青羽は実の姉の白羽を愛しておりまして、その面影を持つ小龍を大変に可愛がっています。
はうっ、叔父と甥って、ある意味王道かもな!
これに関西弁の赤羽伯父が絡むともう大変です。
霧風ヤキモキ。
でも、全部それは、白羽の影を小龍に乗せている側面があるので、小龍はそういうことは見抜いているんじゃないのかな。という話。
でもけっこう小龍はこの叔父さんのことが好きな様子です。
ていうか、羽根一族は皆、近親相姦的な感情を持ちやすい一族らしいな・・・。
2005/07/13(Wed) 22:49