月影
「…何?」
霧風が顔を寄せる。小龍がうつむいたまま、ようやくつぶやいた。
「…兄貴に、ばれた」
月影の中で小龍の生真面目な瞳が揺れているのがわかる。
「…じゃあ…、やめる?」
腕の中にいる小龍がほんの少し身を堅くしたのが伝わってきた。
「…もし本当に小龍が困るんでどうしてもいやだっていうのなら…」
小龍が顔を上げる。
「…ウソですよ」
霧風は抱いている腕に力をこめる。ここで腕を緩めたら、下手をすると永遠に失ってしまう。
「そのくらいでやめるくらいなら…最初から」
吐息が近づく。
「最初から、抱きしめたりなんか、しません」
そして近づく小姑の影。 2005/05/19
一番最初に書いたSS.拍手で送ったんじゃなかったかな。 これが最初だったんだね。
2005/06/08(Wed) 19:58
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